個人型確定拠出年金の仕組み

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは

「確定拠出年金」は、公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金のひとつです。基礎年金、厚生年金保険と組み合わせることで、より豊かな老後生活を実現することが可能となります。確定拠出年金の仕組みは、掛金を定めて事業主や加入者が拠出し、加入者自らが運用し、掛金とその運用益との合計額をもとに給付額が決定されるというもので、事業主が実施する「企業型確定拠出年金」と、個人で加入する「個人型確定拠出年金(iDeCo)」
があります。iDeCoの加入者は、これまで自営業者の方などに限られていましたが、平成29年1月からは、企業年金を実施している企業にお勤めの方や公務員、専業主婦の方を含め、基本的にすべての方が加入できるようになります。加えて、転職したときなどの積立資産の持ち運び(ポータビリティ)も拡充し、より使いやすい仕組みになります。

iDeCoのメリット(3つの税制優遇措置)

[1] 掛金が全額所得控除されます

iDeCoの掛金は全額所得控除されるため、大きな節税効果があります。たとえば、課税所得が195万円~330万円(税込年収300万円~500万円程度)の会社員・公務員の場合、所得税の税率は10%なので、地方税(一律10%)と併せて、掛金の20%に相当する税額が節税できる計算です。所得金額が大きいほど、また、掛金の金額が大きいほどに絶税効果は大きくなります。

[月1.2万円の場合]
1.2(万円)×12×20%(所得税10%+地方税10%)=2.88万円
毎年の節税額が2.88万円だとすると、30年間で86.4万円の節税効果になります。

※専業主婦や育児・介護休暇などを取得していて年間を通じて所得がない方は、掛金を拠出しても所得控除が受けられません。

[2] 運用益も非課税で再投資されます

通常、預金の利息や投資信託の運用益には20%が課税されますが、iDeCoでは非課税です。たとえば、毎月1.2万円を20年間拠出して、年率2%で運用できた場合の節税効果を計算してみます。

【20年目の元本】 288万円(1.2×12×20)
【税引後の20年目残高】 338万9,646円(年2%で複利運用)
【非課税の20年目残高】 353万6,644円差額:14万6,998円

同様に、年率3%で、30年間運用した場合

【30年目の元本】 432万円(1.2×12×30)
【税引後の30年目残高】 629万3,240円(年3%で複利運用)
【非課税の30年目残高】 696万2,145円差額: 66万8,905円

運用期間が長いほど、運用利回りが高いほど、節税効果は大きくなります。

[3] 受け取るときも税制優遇措置があります

一時金で受け取る場合の所得控除額は、たとえば勤続30年の場合は1,500万円まで非課税になります。勤続年数が長いほど、控除額が大きくなります。退職所得控除の計算式は以下のとおりです。

【勤続年数20年未満の場合】 40万円×勤続年数
【勤続年数20年以上の場合】 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※勤続年数35年の場合:800+70×(35‐20)=1,850(万円)

一方、年金として受け取る場合、65歳未満では年額70万円以下の所得税が非課税、65歳以上では年額120万円以下は非課税。65歳以上で年金として受け取る場合の控除額は大きくなっているため税負担を少なく受け取ることができます。

iDeCo に加入するときの留意点

運用は加入者ご自身が行います

積立金の運用は加入者ご自身の責任で行われ、受け取る額は運用成績により変動する仕組みです。取扱い金融機関(運営管理機関)がさまざまな運用商品を提示していますので、よく検討してから加入しましょう。
※ 運用商品の中には、元本保証のない商品もあります。商品の特徴をよく理解したうえで選択してください。

中途での引出しに制限があります

iDeCoは、老後の資産形成を目的とした年金制度であるからこそ、税制優遇措置があります。このため、原則60歳まで引き出すことができませんので、注意してください。
※ 掛金の額は、原則、年に1回変更することができます。

口座管理手数料などがかかります

加入時の手数料や毎月の口座管理費などの各種手数料があります。手数料については、国民年金基金連合会や運営管理機関に十分ご確認ください。
※ さまざまな金融機関が運営管理機関になっており、運営管理機関ごとに手数料が異なります。

iDeCo の加入範囲と拠出限度額

  • iDeCoは、基礎年金(1階部分)、厚生年金保険(2階部分)などの公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金(3階部分)のひとつです。
  • 下図のうち点線囲みの部分がiDeCoで、掛金には、ご本人の状況に応じた「拠出限度額」(*)があります。
    (*)拠出限度額は、現在月額で設定されていますが、平成30年1月から年単位となります。
  • 「★」が平成29年1月から、新たに加入できるようになる部分です。

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  • 【※1】企業年金等とは企業型確定拠出年金、確定給付企業年金等。企業型確定拠出年金を実施している企業は、規約でiDeCoへの加入を認めている場合(※)のみ加入可能。
    ※企業型確定拠出年金規約において、マッチング拠出を規定している場合、iDeCoへの加入を併用することはできません。(企業としてマッチング拠出かiDeCoへの加入のどちらかを選択する必要があります)iDeCoへの加入を企業型確定拠出年金規約に規定した場合、企業型確定拠出年金における事業主掛金の拠出限度額は以下の通りです。
    1.企業型年金等のうち、企業型確定拠出年金のみを実施している場合 …年額42.0万円(月額3.5万円)
    2.企業型年金等のうち、企業型確定拠出年金と確定給付型年金を併用している場合 …年額18.6万円(月額1.55万円)
  • 【※2】企業年金等(※1)に加入している方のうち、「企業型確定拠出年金にのみ加入している方」の額。
  • 【※3】企業年金等(※1)に加入している方のうち、「企業型確定拠出年金にのみ加入している方(※2)以外の方」の額。 (公務員・私学共済加入者もこちらに含まれます)

iDeCo の掛金の運用

  • iDeCoでは、掛金を60歳になるまで拠出し、60歳以降、加入期間などに応じて受給できる年齢が決まります。
  • 拠出した掛金の運用は、運営管理機関が提示する運用商品(預貯金、保険商品、投資信託、信託等)の中から、加入者自らが選択し運用します。(複数の商品を選択することもできます。)
  • 選択した運用商品は、原則いつでも変更することができます。
  • 運用商品の中には、元本保証のない商品もあります。商品の特徴をよく理解した上で選択してください。

iDeCo の給付

iDeCoは、以下の各種の方法により、給付を受けることができます。

老齢給付金 障害給付金 死亡一時金
給付方法 5年以上20年以内の有期年金(終身年金を取り扱っている運営管理機関もあります。)
※年金の全部または一部を、一時金として受けとることも可能
一時金
給付要件 加入期間などに応じて、受給できる年齢が異なります
10年以上 ⇒ 60歳
8年以上10年未満 ⇒ 61歳
6年以上 8年未満 ⇒ 62歳
4年以上 6年未満 ⇒ 63歳
2年以上 4年未満 ⇒ 64歳
1月以上 2年未満 ⇒ 65歳
70歳に達する前に傷病によって一定以上の障害状態になった加入者が、傷病が続いた状態で一定期間(1年6か月)を経過した場合に受給可能 加入者等が死亡したときに、その遺族が受給可能

※この他に、一定の要件を満たした場合、脱退一時金の支給を受けることができます。

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